2016年08月13日
【お盆に想う 第3回~ジャーナリスト和多田進さん~】
今年6月22日にお亡くなりになった
ジャーナリストの和多田進さんを偲んで
和多田さんによる田野城のインタビュー記事を数回に分けて掲載します
(田野城は ”死に別れた” と思っていないそうですが)
今日はその第3回目です
和多田さんとの初めての出会いは、
田野城が静養のために暫く移り住んでいた北海道帯広市
まわりは畑と林そして空の中
何故だかわからないが(直接、伺ったことがないので)
田野城に興味を持ってくれた和多田さんは
馬小屋を改築した当時の住まいまで訪ねてこられました
その時のインタビューが
『現代ニッポンにおける人生相談』(週刊朝日別冊1997年6月15日号)
に掲載されました。タイトルは
「日本の音楽業界になじめない私の理由」
以下、続きの転載です(和多田さん: WS、田野城: TH)
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「日本の音楽業界になじめない私の理由」
|楽器も英語もできないけれど、
アメリカの音楽学校目ざして
飛んでいってしまった僕|
WS:勉強をしないで高校時代は何をやっていたの。
非行少年?
TH:一般論だと非行少年だったかもしれない。
群れをなすのはダサイ、やるのだったら一人でやると。
WS:登校拒否?
TH:自分では重役出勤と呼んでました(笑)
朝の授業にだけ行って、帰りはそのまま大阪・難波の
ジャズ喫茶に入りびたって本を読んだり、英語の単語を
覚えたりしたんです。
WS:アメリカに行こうと思って?
TH:漠然と何かしら求めていたということですね。
それが何だかよくわからなかったです。
でも、さきほどのエルビン・ジョーンズを聴いて、
よし、アメリカに行ってみようという気になった。
それが19歳。資料を取り寄せて調べて、日本で
TOEFLを作っている先生に習って、TOEFLは免除してもらった。
WS:それで、どの大学に行くかということになるわけですね。
TH:どういう学校かわからないけれども、とにかく行ってみようじゃないかと。
それでバークリー・カレッジ・オブ・ミュージック、
つまりバークリー音楽院に行った。
WS:学歴に関係なく行かれる学校ですか。
TH:基本的に高卒が行く学校ですけど、飛び越し入学もできると思いますよ。
教職課程は取れないと思いますけど、演奏家になるなら関係ありませんから。
WS:学校では、音楽理論も教えるけれど演奏家も養成するわけ?
TH:そうなんです。
WS:かの有名なNYのジュリアード音楽院もそいうことなの?
TH:音楽のカリキュラムやシステム、哲学がぜんぜん違います。
NYにはジュリアード音楽院とマンハッタン音楽院という有名な学校があって、
ボストンにはニューイングランド音楽院というのがあります。
これが東海岸では最も授業内容が充実している。
バークリーはどちらかといえば、いかにスピーディーに音楽家として
食っていけるかを教える学校じゃなかったかと思うんです。
WS:「格」は同じなのですか。
TH:同じなんですけど、アメリカの学校は普通、単位のトランスファーが
認められます。1年目はジュリアード、2年目はマンハッタン、
3年目はフィラデルフィアのコンセルバトワール・スクール・ミュージック
に行きたいという場合、最後に卒業した学校が卒業証書を発行する。
ところが、バークリーの場合、どこも単位を受け取ってくれません。
ニューイングランド音楽院に単位を持ってトランスファーしたいと
申し出たんですけど、単位を一切切り捨てるのであるのならいいだろう
と言われました。バークリー音楽院はきわめて専門学校に近いものだと
僕は判断しています。
しかし、もっとも日本の大学と違うところは、落とすための試験はやらない
ということです。君のウィークポイント、君はここが弱すぎる、
ここをもう少し強化してから来たほうが楽だよ、と
いろんなアドバイスをしてくれます。
- 続く -
(スタッフより)