世界共通の言語である音楽は、国や民族、宗教の違い等を越えて、人の心を豊かにしたり、幸福にする力を持っています。だから音楽をする人間は地域や社会に貢献できるし、貢献していくべきなのです。僕の言葉では、音楽は、人が人を想う「愛」だということになります。だからこそ、演奏の技術を伝える前に、そうした音楽の持つ意味や、素晴らしさを伝えていきたい。音楽をすることの延長に、自分の生き方、社会との関わり方を考える道を据えてみたいと思っています。

マンハッタンは僕を自由にさせる街、ヤニー・ホーンをうならせろ! vol.3 / 6


ニューヨークの町並み



ニューヨーク・・・もう少し正確に言うなら、マンハッタン。ボストンのバークリ−音大生だった頃、デイブ・リーブマンのレッスンを受けるために片道4時間、電車に揺られ通った街だ。


この場所だけは実に不思議でアメリカでありながら最もアメリカでないところ・・・。世界中の人種が集まり、違った言葉が町中を飛び交う。24時間ノンストップの地下鉄をはじめ、ここマンハッタンは異常なエネルギーを発散し続けている。


当然のことながら、音楽も実にすごい。リンカーン・センターを中心にクラシックや現代曲、ビレッジにはジャズ、そしていたる所にアシッド・ジャズ、ファンク、ポップにロック、リズム・アンド・ブルースと世界の最新ミュージック・シーンをここでは体験できるのだ。


僕はレコーディングするにあたり、思いっきり自由になれる場所としてこのマンハッタンを選んだ。そして、僕はウエスト80丁目あたりに住居を構えた。僕の滞在先のアパートには24時間体制でドアマンがフロントに立っていた。5人のドアマンの中で最年長は70歳を越えている。彼は32年間と8ケ月、このドアの前でずっとこの街を見続けてきたという。


意志の強そうな低く「ここのことはみんな知っているよ」と言い、サックスケースを下げて出入りする僕をつかまえて「どんな音楽をやっているんだい?」と尋ねた。「ジャズさ」僕が答えると、顔中しわだらけで大きな目をした彼は静かな口調で「All Right」とゆっくりうなずいた。


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