世界共通の言語である音楽は、国や民族、宗教の違い等を越えて、人の心を豊かにしたり、幸福にする力を持っています。だから音楽をする人間は地域や社会に貢献できるし、貢献していくべきなのです。僕の言葉では、音楽は、人が人を想う「愛」だということになります。だからこそ、演奏の技術を伝える前に、そうした音楽の持つ意味や、素晴らしさを伝えていきたい。音楽をすることの延長に、自分の生き方、社会との関わり方を考える道を据えてみたいと思っています。

ワン&オンリーで突っ走れ! vol.3 / 19


クインシーがOKを出した



クインシー・ジョーンズがモントルーでなぜ僕を使ったのか。オーディションで彼が言ったことばは、今でも覚えてますよ。彼はこう言いました。「もっとも固まっていない奴だ」こいつの方向性は見えるんだけど、サウンドの志向も演奏もまるで固まっていない、予測ができないって。


普通、日本人が向こうに行くと、例えばピアノはハービー・ハンコックとか、サックスはパーカーとか、歌はマンハッタン・トランスファーみたいだとか言われちゃう。日本ではそれが賛美されて、レコードも出る。でも向こうじゃ、全部NO!です。そんな中で「お前が一番なんだか分からない」と言われ、それで受かっちゃったわけです。


もちろん、「分からない」ままじゃ僕も浮かばれませんからね(笑)。だったら、今度は自分のオリジナリティを徹底的に磨いて、もう一度モントルーに行ってやろう。オーディションで言われたことばを、逆に叩きつけてやろう。そんな気持ちが俄然、湧いてきた。こうなったらリターンマッチだと。だから、ここ2~3年の僕は、もう一度モントルーに戻るためのセッティング、すべてをこの一点に集約させてやってきたんです。まわりから見るとこの5年間、休んでるように見えたでしょうね。ライブもほとんどやらないしね。だけど、自分ではじっくりと方向性を見極めようということです。


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