世界共通の言語である音楽は、国や民族、宗教の違い等を越えて、人の心を豊かにしたり、幸福にする力を持っています。だから音楽をする人間は地域や社会に貢献できるし、貢献していくべきなのです。僕の言葉では、音楽は、人が人を想う「愛」だということになります。だからこそ、演奏の技術を伝える前に、そうした音楽の持つ意味や、素晴らしさを伝えていきたい。音楽をすることの延長に、自分の生き方、社会との関わり方を考える道を据えてみたいと思っています。

リディアン・クロマティック・コンセプトって何だ? vol.3 / 5


ニューオリンズで産声を上げたジャズ・・・。やがて1940年代にチャーリー・パーカーが「ビ・バップ」というスタイルをつくり、ジュリア−ド音楽院を卒業したマイルス・デイヴィスが「モード」を生み出し、ジョン・コルトレーンが「コルトレーン・チェンジ」という、従来のジャズ理論では考えられなかった音楽の進行形態をつくり出し、ジャズシーンを新しく塗り変えてきた。


ジャズは確実に進化し、これまでの感覚だけに頼るものではなく、ヨーロッパで育ったクラシックや民族音楽を取り入れて高度な知識と技術を必要とする音楽になってきたのだ。そしてその最先端を歩んでいるのが「リディアン・クロマティック・コンセプト」なのである。


留学して3年目の夏、ある幸運なきっかけから、ぼくは夢にまで見たジョージ・ラッセルにコンタクトをとることができた。指定された時刻に、ぼくはダイヤルをまわした。


「はじめまして。紹介していただいたヒサオ・タノシロです」


「はじめまして。話は聞いているが、プライベートレッスンできない。生徒をとっていないのだ」


ゆっくりとした、そして明晰な話し方だ。


「ぼくはあなたのつくったコンセプトを学ぶために日本からやって来ました」


「今、どこの学校に通ってるのかね?」


「バークリ−音楽大学です」


「そうか。しかしわたしはニューイングランド音楽院でこのコンセプトを教えているのだから、ニューイングランドに入学しなさい。そうすれば私から直接学ぶことができる」


これにはさすがに参ってしまった。が、このままでは引き下がれない。


「お願いです。一度でいいですから、ぼくにこのコンセプトを学ぶチャンスをください」


と、どうだろう。彼はこう言ったのだ。


「よし、わかった。家に来なさい」


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