そんな中、日本から参加した僕は、現地での湾岸戦争時における日本政府の対応に、非難を浴びる事が多かったのです。要は、『日本は、お金だけ出せばそれで良いと思っているのか?』という事でした。
実際、どの国よりも一番多く『お金』を資金として払ったにもかかわらず、西側諸国は日本の貢献を認めなかった。残念ながら、現在も世界における日本の貢献度の評価は低いですが、何故でしょうか。
学校嫌いで登校拒否だった僕にとって、かつて受けたアメリカでの音楽教育は、日本の社会に感じていた疑問点を、かなり解決してくれるものでした。大学には世界の国から、いろんな民族、いろんな宗教を持った生徒が集まり、まさにミニチュア国際社会そのものでした。
ユダヤ人で僕の大好きだった教授ジョー・アラッド氏が最初のレッスンの時、僕にこう言ったのです。『ヒサオの技術が聞きたいんじゃない、魂のこもった演奏が聞きたいんだ』『喜びや悲しみを素直に表現し、人の為に演奏しなさい』。この彼の言葉が僕の人生観を変えて行く事になるのです。
僕が考える真の成功者とは、“自分自身を知りつくし、刺激的で感動のある人生が送れるかどうか”だと思うんです。たとえお金があろうとなかろうと。
【完】
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