世界共通の言語である音楽は、国や民族、宗教の違い等を越えて、人の心を豊かにしたり、幸福にする力を持っています。だから音楽をする人間は地域や社会に貢献できるし、貢献していくべきなのです。僕の言葉では、音楽は、人が人を想う「愛」だということになります。だからこそ、演奏の技術を伝える前に、そうした音楽の持つ意味や、素晴らしさを伝えていきたい。音楽をすることの延長に、自分の生き方、社会との関わり方を考える道を据えてみたいと思っています。

音楽に何ができるか。技術の前に教えたいことがたくさんある。 vol.2 / 2


音楽にジャンルはない。たくさんの音楽にふれてみよう。



音楽は音楽であって、ジャズ、クラシック、ロックといったジャンル分けにはあまり意味がないと考えています。


PMFのひとつのお手本であるボストンのタングルウッド音楽祭でも、クラシックと同様にジャズの部門があり、それぞれ小澤征爾、ウィントン・マルサリスという素晴らしい音楽家が指導の中心にいます。


そして、ふたつの部門の学生たちは全く違う志向を持っているかというと、そんなことは全然ない。


また、スイスのモントルー・ジャズフェスティバルは、日本では正統的なジャズフェスティバルと考えられがちですが、例えば僕が参加した年のオープニングは、スティングでした。


異なるものの存在を認め合い、その交わりの中から新しい価値が生まれていけば良いのです。


特に子どもたちには、いろんな種類の音楽にふれてほしい。それが、演奏の、ひいては人間の豊かさになっていきます。個人的には、僕たちの音楽が、将来的にはPMFと関わっていけば大きな意義があると考えています。


目先のライブのためだけに、全員のレベルを平均化するのが目的ではありません。一人ひとりが、あくまで自分の問題としてどこまで伸びてくれるかが重要です。やがては僕の知人であるアメリカの音楽家たちの協力もあおぎながら、じっくりと腰を据えて取り組んでいきたいと考えています。


【完】


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