2016年08月30日
【転載 『楽譜のいらない音楽授業』_ 第6回 ♪一期一会 -フィラデルフィアの夜- ♪ vol.2 】
肺炎でドクターストップを受けた田野城は
ニューヨークレコーディングを中断し、
音楽業界から暫く退いていた時期があります。
その間、自身の経験から強く音楽教育に関心を持ち、
さまざまな垣根のない教育実践を行ってきました。
その活動が10年目に入った頃、和多田 進さんから
お声をかけていただき、和多田さん編集長の地域ポータルサイト
『北海道人』にて初めてのメルマガ連載を担当させていただきました。(2007年3月)
「好きなことを自由に語っていい」ということで始まった
『 田野城寿男の「楽譜のいらない音楽授業」』。
演奏家に本格復帰を決意するまでの約1年6ヶ月続いた記事の中から
スタッフが選んだいくつかを皆さんとシェアしたいと思います。
型破りで破天荒な田野城の半生や、考え方が読者の皆さんの清涼剤になれば幸いです。
では、一期一会 vol.2 をどうぞ。
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【 ♪一期一会 -フィラデルフィアの夜- ♪ vol.2 】
さて、秋に入学したボストンでの大学生活。
私は初めて感謝祭を迎えました。日本では存在しない行事、感謝祭です。
連休になり学校の寮もクローズとなります。
アメリカの学生達にとってはほんのささやかな時間ですが、
自宅に戻り、楽しく一家団欒のひと時を過ごします。
ところがアメリカに来たばかりで行く当てのない私は、
どうしよう?どこに行こうか? と、一人悩んでいました。
すると幸運にも渡米する前、英会話でお世話になった方のご両親から連絡がありました。
彼らは私の事情をまるで知っているかのように、一度も会った事のない私を
フィラデルフィアの自宅に招待したいというではありませんか。
私は内心、行く当てが見つかってほっとし、喜んで出かけました。
今から思えば少し無謀な気がしますが……。
一人でボストンから飛行機に乗り、フィラデルフィアへ向かう途中によぎった、
「もし迎えにきてくれなかったら?」という一抹の不安も、
真っ白なリンカーンコンチネンタルで出迎えてくれた
お父さんと彼の息子の姿で吹き飛ばされました。
ー 続く ー
(スタッフより)