2016年10月11日
【転載 『楽譜のいらない音楽授業』_ 第17回 ♪音の華_ vol.3♪ (最終話)】
肺炎でドクターストップを受けた田野城は
ニューヨークレコーディングを中断し、
音楽業界から暫く退いていた時期があります。
その間、自身の経験から強く音楽教育に関心を持ち、
さまざまな垣根のない教育実践を行ってきました。
その活動が10年目に入った頃、和多田 進さんから
お声をかけていただき、和多田さん編集長の地域ポータルサイト
『北海道人』にて初めてのメルマガ連載を担当させていただきました。(2007年3月)
「好きなことを自由に語っていい」ということで始まった
『 田野城寿男の「楽譜のいらない音楽授業」 』。
演奏家に本格復帰を決意するまでの約1年6ヶ月続いた記事の中から
スタッフが選んだいくつかを皆さんとシェアしたいと思います。
型破りで破天荒な田野城の半生や、考え方が
読者の皆さんの清涼剤になれば幸いです。
では、音の華_ vol.3(最終話) をどうぞ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【 ♪音の華 ♪ vol.3 (最終話) 】
初めてゴッホの『星月夜』を観にニューヨーク近代美術館を訪れたときは、
キャンバスに描かれた彼の想いや力強いタッチの波動が、
不用意だった私の心に突き刺さり、
思わず吐き気をもよおしたほどです。
おかげでいまだに直視するのが大変苦手な作品の一つです。
また、私は大のエジプトファンなので、
美術館で綺麗な壁画や石棺をみつけると大喜びしてしまいます。
その場に座り込んではエネルギーをチャージしています。
絵画や彫刻をはじめとする芸術作品は、
創作者の寿命に関係なく、
まるで生命が吹き込まれているかのように
時間を超えて光り輝き続けます。
その点、音楽は違うと感じます。
音楽は、
演奏できる空間の中に演奏者がいて、
バイオリンやサックスといった楽器に魂を吹き込み、
それが振動となって空気中を伝わり、
鑑賞者の心や体に触れたとき、
初めて音の華を咲かせることができるのです。
ー 音の華 終わり ー
(スタッフより)