2016年10月08日
【転載 『楽譜のいらない音楽授業』_ 第16回 ♪音の華_ vol.2♪】
肺炎でドクターストップを受けた田野城は
ニューヨークレコーディングを中断し、
音楽業界から暫く退いていた時期があります。
その間、自身の経験から強く音楽教育に関心を持ち、
さまざまな垣根のない教育実践を行ってきました。
その活動が10年目に入った頃、和多田 進さんから
お声をかけていただき、和多田さん編集長の地域ポータルサイト
『北海道人』にて初めてのメルマガ連載を担当させていただきました。(2007年3月)
「好きなことを自由に語っていい」ということで始まった
『 田野城寿男の「楽譜のいらない音楽授業」 』。
演奏家に本格復帰を決意するまでの約1年6ヶ月続いた記事の中から
スタッフが選んだいくつかを皆さんとシェアしたいと思います。
型破りで破天荒な田野城の半生や、考え方が
読者の皆さんの清涼剤になれば幸いです。
では、音の華_ vol.2 をどうぞ。
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【 ♪音の華 ♪ vol.2 】
それからというもの、
私はマイルスに取り憑かれたように彼の音楽を聴きまくります。
そういう意味では、
尊敬すべきサックス奏者ジョン・コルトレーンを
一度も生で聴けなかったことがとても悔やまれます。
たしかに CDで彼が残した作品
『Liberia』や『Wise One』を聴くことはできます。
しかし、残念ながらそこには生きた“本人”はいないのです。
オーディオで聴くために電気処理された音があるだけです。
だから思うのです。
もし、コルトレーンのテナーサックスから放たれる生音を、
空気を突き破ってくる音の振動を、
目の前で直接体感できたらいったいどうなっていたのだろう?
と。
マイルスのときと同様に、
いきなりスイッチがオンになり、
私の全身に得体の知れない電流がなだれ込むのだろうか?
私の中学・高校時代、美術の教科書には
有名なゴッホ、マティス、ムンク、ピカソ、ダリ、
そしてミロやロダンなど、
世界的に有名な方々の残した作品が
写真付きで掲載されていましたが、
そこからは何も感じ取れませんでした。
しかし、美術館を訪れ、
実際に彼らの絵画や彫刻を目の前で観てみると、
平面体の教科書とは大違い。
生の作品から作者本人の波動が空気を切り裂き、
鑑賞している私に向けて
ビンビンとエネルギーを放射してきているのを感じました。
油断しているとあっさりパンチを喰らい
ノックアウトされてしまうほどです。
ー 続く ー
(スタッフより)