2016年09月09日
【転載 『楽譜のいらない音楽授業』_ 第9回 ♪大嫌いな歯医者 ♪ vol.1】
肺炎でドクターストップを受けた田野城は
ニューヨークレコーディングを中断し、
音楽業界から暫く退いていた時期があります。
その間、自身の経験から強く音楽教育に関心を持ち、
さまざまな垣根のない教育実践を行ってきました。
その活動が10年目に入った頃、和多田 進さんから
お声をかけていただき、和多田さん編集長の地域ポータルサイト
『北海道人』にて初めてのメルマガ連載を担当させていただきました。(2007年3月)
「好きなことを自由に語っていい」ということで始まった
『 田野城寿男の「楽譜のいらない音楽授業」』。
演奏家に本格復帰を決意するまでの約1年6ヶ月続いた記事の中から
スタッフが選んだいくつかを皆さんとシェアしたいと思います。
型破りで破天荒な田野城の半生や、考え方が読者の皆さんの清涼剤になれば幸いです。
では、大嫌いな歯医者vol.1 をどうぞ。
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【 ♪大嫌いな歯医者 ♪ vol.1 】
今から約30年前、ボストンの留学先で、親知らずを4本抜いた。
日本を出発する前に日本の歯医者に診てもらい、
「様子を見ましょう」とそのままにしておいた親知らずが、
ボストンに来てから4本一気にすくすく育って、
他の歯を圧迫し始めた。
常に永久歯をギュっと押す痛みに、「これはもう絶えられない」と思い、
医者嫌いな私がとうとう、ボストンのニューベリーストリートにある
歯医者へ行った。
毎日の通学途中で見かけていた歯医者だった。
恐る恐る入り口から中に入ると……
まるでそこはリビングのようだった。
室内はカントリー調でまとめられ、本や絵画、植物が素敵に飾られて
寛げる空間がひろがっていた。
私はホッとした。
まるで友人の家に遊びに行って、快く招き入れられた温もりを感じた。
名前を記入して待っていると、若い担当医らしき男性がやってきた。
……らしき人と感じたのは、彼が白衣を着ていなかったから。
清潔なシャツにスラックスをはいた、アイビールック。
彼と簡単な話をして、診療室に案内してくれた。
でもその診療室に入ってさらに驚いた。
「えっ!?」
ー 続く ー
(スタッフより)